第24回 日米交流の原点

~教科書では教えてくれない、歴史的事実!~

黒船来航の60年以上も前に、アメリカと和歌山がつながっていた!?

 

【開催のご挨拶 会長 安田豊】

「和歌山再発見を通じて和歌山を盛り上げよう」を合言葉に和歌山にゆかりある人々が集う紀友会。第24回6月例会では、「わが名はケンドリック-来日米人第一号の謎」の著者であり、「日米交流の原点」について米国側の歴史も詳しく調べてこられた田辺市在住のノンフィクション作家、佐山 和夫様のお話を伺い、懇親会を通じて、有意義な時間を会員の皆さまと過ごしました。

 

【基調講演】佐山 和夫(さやま かずお)様

~教科書では教えてくれない、歴史的事実!~

黒船来航の60年以上も前に、アメリカと和歌山がつながっていた!?

「日本とアメリカとの一番初めの接触は、紀州がはじまりなんです。これは間違いありません。」と、力強いスピーチで始まりました。学校の教科書では、浦賀沖にやってくるペリーの黒船来航が、日本とアメリカとの交易がはじまったとあります。しかし、ペリー来航よりも62年も早い、1791年に、ジョン・ケンドリック船長率いる巨大な帆船レイディ・ワシントン号がやってきました。その場所が、和歌山県串本町の紀伊大島なんです。

ペリー来航と、よく比較されるのは、軍艦と商船との差、船の大きさ、大統領の親書の有無で比べられ、また、日本の資料、つまり当時の紀州藩の報告書では、「漂着した」との文献が残っているために、ジョンケンドリック船長が歴史の教科書に取り上げられてはいないようです。

佐山先生は、船の差や、船長の資格の差ではなく、「時代の差」だと強調されました。「6年と2か月ではなく、62年の歳月の差なんです。しかも、アメリカが建国された初めの時代にやってきたということなんです。」と。

ジョンケンドリック船長が紀州にやってきたのが、1791年。アメリカのボストンを出発したのが、1787年。当時のアメリカは、イギリスとの独立戦争を経て、独立を勝ち取って間もない頃でした。独立はしているものの、まだ憲法はできておらずに大統領制度にも入ってません。初代大統領には、ジョージワシントンが決まっていましたが、大統領制度としては2年後の1789年、つまりジョンケンドリック船長が、日本やアジアに向かってボストンを出た2年後となります。もちろん大統領がいないので親書はありません。そのかわりにアメリカ議会の認証状を携えて出港しています。建国したばかりのアメリカが東洋への貿易のルートをを求めるために、レィディワシントンとコロムビアという名の2隻で出発します。

選ばれた船長は、ジョンケンドリック、出航当時は、47歳であり、時代からいうと、おじいさんの部類です。もちろん、選ばれたのは理由があります。家系がメイフラワー号でイギリスからやってきており、先住民と良い関係を築く知識を豊富に持っていたことで選ばれました。航路は、東海岸を出て、南米を周り、北西海岸でラッコの毛皮をとって貿易品にします。チリ、ハワイ、マカオと、途中何度も嵐にあい、船の修理のためのお金もなくなり、莫大な借金をしてまで航海を続け、そして1791年、紀州にたどり着きます。

このようにジョンケンドリックがアメリカ代表として日本にやってきたという歴史木的な証拠は、アメリカ側では議会の資料や、船長の手紙や出資者などの資料などたくさん残っています。日本での資料は非常に少ないため、日本の歴史としての評価にはなってはいないのが残念です。

佐山先生は、最後に「歴史の真実として、日本だけの片側の資料だけでなく、アメリカの資料も含め双方を平等に評価することから始めましょう。」と、いうことを強調されて、スピーチを終えられました。

アメリカ側からの視点で非常に興味深く、航海時代のロマンあふれるスピーチをお聞かせいただき、お忙しい中、和歌山県田辺からお越しくださいました、佐山さまには、貴重なご講演をくださいまして誠にありがとうございます。【講演レポート 広報担当 中川貴照】

【和歌山ゆかりの企画・イベントのお知らせ】

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【和歌山自慢コーナー】

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【紀友会 部活報告】
文化部 新国立劇場 オペラ観賞会&バックステージツアーレポート(発表者 村田千佳)

【乾杯の音頭】 副会長 上田富三
【懇親会の模様】

●  閉会のご挨拶 会長 安田豊

(第24回例会レポート 広報担当:中川貴照)

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