第20回 紀友会例会

●開催日時: 2011年2月4日(金) 午後6時~9時半

●開催場所:新宿住友ビル47階会議室 東京都新宿区西新宿2-6-1

●参加者
・法人会員 1法人4名
・個人会員 57名
・非会員 26名
・基調講演講師 2名
合計89名

●内容
例会テーマ:「和歌山を通して感じる星空~天体の魅力と宇宙環境の未来~」

1.開催のご挨拶 代表幹事 安田豊

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2.基調講演
「和歌山再発見を通じて和歌山を盛り上げよう」を合言葉に和歌山にゆかりある人々が集う紀友会。
今回の例会では、和歌山を通して感じる星空~天体の魅力と宇宙環境の未来~と題して、宇宙に「夢」や「希望」といった想いを馳せるお二方をお招きし、有意義な時間を会員の皆さんとすごしました。

①テーマ:「和歌山から宇宙へ」
和歌山大学 観光学部地域再生学科教授 尾久土正己氏

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【基調講演レポート】
「星の動物園・みさと天文台」で初代天文台長を務められ現在、和歌山大学で観光学部の教授を務められている尾久土正己氏にお話しを頂きました。2010年 6月に「はやぶさカプセルの帰還ネット中継」に尽力され、NHKや新聞をはじめ、さまざまなメディアに取り上げられました。

中継当時は、テレビ局は、もちろん、JAXAにおいても、テレビ中継の予定はなく、尾久土教授率いる、計3名の中継スタッフだけが、オーストラリアのヌー メラ砂漠へ駆けつけます。また、「はやぶさカプセル」がどこに落ちてくるか、無事に落ちてくるかといった正確な情報は、JAXAの機密情報のためもらえな かったそうです。

さらに、落下中継の予想場所は、過去、イギリスの核実験場であり、先住民の聖地であるようなところで簡単には入れないところ。それでも、ノートパソコン1 台とデジタルビデオカメラをもって、中継に成功したことは、驚嘆に値します。また、インターネットで同時中継をしていたので、一晩で63万人が視聴し、数 万行のメッセージがくるなど大変な反響があり、当時のグーグル検索の結果が、「6位 はやぶさ」、「5位 和歌山大学」だったのも宇宙への関心の高さに脱 帽です。また、地域のプラネタリウムでは和歌山大学との連携による「はやぶさ」をテーマにしたファッションショーを開催するなど、地域の交流に役立てられ ているようです。

2011年5月以降、和歌山大学観光学部内に、新設される「観光デジタルドームシアター」では、和歌山の観光名所や自然を360度シアターで囲まれるよう に見ることができるようになります。さらには、和歌山大学生による、ロケットを開発し、加太のコスモパークで飛行実験を行いました。上空400mまでの打 ち上げに成功し、今年の目標は1km。さらには、5km以上打ち上げ、宇宙空間まで高度をのばしていくことが目標です。現在、アメリカの民間企業では、再 来年くらいには宇宙旅行が、費用1500万円程度で行けるようで、さらに技術が発達すると、約200万円で宇宙にいけるところまで来ています。ひょっとし たら、日本の宇宙旅行の第一号が、和歌山からできる未来が来るかもしれません。

(基調講演レポート:中川貴照)


②テーマ:「日本の有人宇宙活動の現在と未来」
JAXA(宇宙航空研究開発機構)有人宇宙環境利用ミッション本部 事業推進部長 上野精一氏

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【基調講演レポート】
JAXA(宇宙航空研究開発機構)で国際宇宙ステーション計画を担当する有人宇宙環境利用ミッション本部の事業推進部長を務められている上野精一氏に、日本の有人宇宙活動の現在と未来についてお話を伺いました。

和歌山とJAXAの関係では、陸域観測技術衛星「だいち」による防災利用に役立てられ、和歌山県の災害を防ぐ有効なデータを供給して和歌山県を宇宙から見 守ってもらっていること。また、和歌山県教育委員会との連携し、青少年の教育研究の貢献されていることをお話くださいました。

そして、国際宇宙ステーション(ISS)についてお話くださいます。ISSは、地上から約400kmの上空に造られた、宇宙施設。大きさは、ほぼサッカー 場となり、船内の体積は、ジャンボジェット機の約1.2倍に相当。宇宙での実験・研究や地球・天体の観測などを行うプロジェクトが国際宇宙ステーション (ISS)計画で、ISS計画にはアメリカ、ロシア、ヨーロッパ、カナダ、日本の15ヶ国が参加。日本は、初の有人実験施設「きぼう」日本実験棟で参加 し、 実験棟では、さまざまな実験を行っており、例えば、無重力空間を利用して、タンパク質を高品位結晶し、医療の治療分野に活用しています。

ISSは、2015年まで利用する予定で、2016年以降は、いまのところ利用未定となっており、様々な観点で、現在議論を行っています。どのように「き ぼう」を利用していくか、有人宇宙ステーションの技術を活用していくか、宇宙産業の振興のためにできること、青少年教育への貢献、国際協力、安全保障の問 題など、お金では換算できない価値への投資としての観点からもお話を頂ました。

産業への寄与として、和歌山の企業もかかわっているようで、ISSの船内宇宙服は、和歌山市の島精機製作所が開発し、土井飛行士が軌道上で試着、着心地な どを確認するなど、宇宙航空開発を通じた産業の創出や技術開発でも寄与しています。

これまでの宇宙開発にかかった日本の予算は、約7000億円、アメリカの6兆4400億円と比較すると小規模ながらも、日本やアジアにおける宇宙への貢献 度は高いものとなっています。宇宙基本計画では、有人宇宙ミッションで有人輸送、探索まで行う計画があり、2025年~30年くらには、日本としても単独 で人を月におくりこむ技術・能力をもつ有人飛行を実現する計画までお箸を頂きました。

今回の例会では、「和歌山から」の視点と「宇宙から」の視点で、充実したお話を拝聴できました。「和歌山から宇宙へ」のテーマにふさわしい、お二方の講演 を拝聴することができ、これからの「地域にとっての未来」が垣間見えたような気がして、楽しみです。このような貴重な時間を紀友会にて共有できたことは大 変有意義だったと思います。お忙しい中、ご快諾いただきまして誠にありがとうございます。

(基調講演レポート:中川貴照)


3.新入会員紹介

4.懇親会 乾杯の音頭とご挨拶 副代表幹事 上田富三

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5.閉会のご挨拶 幹事長 浦聖治

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