第25回 ~世界遺産 高野山を知る~

~世界遺産 高野山を知る~


開催日時: 2012年10月5日(金) 午後6時~10時
開催場所:トラベルカフェ飯田橋店
東京都千代田区飯田橋3-5-1 東京区政会館1F

【開催のご挨拶 副会長 上田富三】
「和歌山再発見を通じて和歌山を盛り上げよう」を合言葉に和歌山にゆかりある人々が集う紀友会。第25回10月例会では、高野山をテーマの講演でした。高野山は、およそ1200年続き、かつては、女人禁制で僧達の修行の場であり、また祈りの聖地 である霊峰で、2004年に世界遺産に登録されました。高野山の神秘的な魅力と21世紀における世界遺産・高野山の舞台裏を高野山金剛峯寺にお勤めの藪 邦彦様にたっぷりとスピーチをしていただき、またその後の懇親会を通じて、有意義な時間を会員の皆さまと過ごしました。

【基調講演】~世界遺産 高野山を知る~
高野山真言宗 総本山金剛峯寺 宗務総長公室 課長 藪邦彦(やぶ ほうげん)様

「実は”高野山”という場所は、実は、雲海の名所なんです。至宝が山で囲まれた盆地になっており、時おり、美しい雲海が眺められる場所でもあります。」と、美しい高野山の景色を想像できるスピーチではじまりました。3年後の平成27年は、弘法大師・空海が、高野山を開いて1200年となる年。世界遺産の登録から、1200年行事で高野山を感じてもらえるよう様々な取り組みなどをお話し下さいました。

弘法大師・空海は、修行の道場として高野山を開かれました。西暦816年、空海は、嵯峨天皇より高野山を下賜されます。弘法大師が奈良を中心として、まだ私度僧(しどそう)として修行していた頃、すでに高野の地の存在を意識していた。
また、唐より帰国後、密教修禅の道場を求めて巡錫されていたとき、一人の狩人から、空海の求めている地は高野(たかの)に違いないと、狩人がつれていた2匹の犬に導かれ向かわれたともされています。

高野山は、2004年7月に世界遺産に登録をされました。世界遺産の登録は大変に喜ばしいことではあったけれども、ただし、納得のできないところも ありました。 


それは、世界「遺産」という表現そのものがどうしてもしっくりとこない。「遺産」という言葉が、もう終わってしまった過去のものという、ニュ アンスが拭い去れないので、高野山に携わるものとしましては、遺産とは言わずに、「世界の至宝」と言い換えて表現することがあります。過去の遺産を残しているわけでは なく、高野山は、今もなお信仰が生き続けており、これからも信仰・伝統を守り続いていく場所であり、それをなくすことなく未来に伝えるという使命を担っています。

世界遺産の登録には様々な基準があります。高野山の登録は、和歌山、奈良、三重の3県にまたがる広大な土地・道が世界遺産に登録されています。信仰の中心となる聖地を巡礼するという信仰体系を含めて世界遺産に登録がなされているわけです。登録の為には、現存する文化的な伝統や、または文明の稀な証拠となるものを提示しなくてはいけませんでした。例えば、いま四国では遍路道の世堺遺産登録を目指し試行錯誤しています。登録のためには道というものを確定定義しないといけない難しい課題がございます。道は長い年月の中で近道が出来たり、整備されたりと変化します。いつの時代の遍路道もって定めるのかなど難しい問題もあるようです。

熊野古道と同様に、高野山には九度山からの参詣道20数㎞に渡り「石の道しるべ(町石)」が約100mごとに建てられ、鎌倉時代から残っており現存していることも、「参詣道」として世界遺産に登録された要因となり、紀伊山地の霊場と参詣道は2004年7月に登録されました。もちろん、登録にいたるには非常に長い年月がかかります。平成12年に世界遺産登録推進室ができましたが、それ以前からの登録の為の試行錯誤が行われ、3県をまたいだ行政機関の努力は非常に大きいものでした。また、ユネスコの担当にも高野山が、いかに優れた素晴らしいものが現在まで伝えられているかということを何年もかけて、理解を深めてもらいました。

高野山をはじめ、熊野・紀伊山地霊場の参詣道が、世界遺産に登録されますと、例えば熊野古道を例にあげるとで「過去100年間で歩いたであろう人の数」が、登 録後には、約1年間で訪れたと言われる程、たくさんの人が来られました。爆発的に参拝の方が多く訪れることになったことで、良いことばかりだとは限りません。たった一年程の期間で、100年間分の観光客が殺到することで、残念なことも起こってしまいます。歩くときの杖をひとつとっても、木の枝を利用していたものが、今では金属のとがった杖に代わり、古道や木の根を傷めてしまったり。最近では、観光客への広報PRもすすみ、道に入る人のマナーも向上しているようです。

歴史的にもみても、和歌山・紀伊の国には日本の宗教観や信仰観の縮図を見ることができます。吉野、熊野、高野という、名前に「野」が付く場所が信仰体系として関連しています。自然そのものに神が宿るという宗教観が、日本には元々あり ます。熊野には、神々が宿る場所として、日本の中心核となる神々が熊野本宮大社に祀られています。また熊野の地には、滝や木々など自然そのものを神(御神体)として崇めておりました。また、吉野という場所は、修験道の聖地です。山岳の中に自らの身を置き、自然の中に神仏を感じ、神仏の働きを体感するという宗教観があります。
このような、元々盤石な宗教体系が備わっていた熊野・吉野にほど近い高野の地を、空海は修行の場として選ばれたのです。

元来の仏教の教えには、修行を積み、輪廻転生を無限に繰り返すことにより、人の煩悩がなくなり、仏になることができるとされていました。空海は、中国から持ち帰った密教という教えをもとに、「人間は、生きている現時点で”仏”としての役割を担っている。言い換えれば現世において今をいかに幸せに生きていくのか」 という考えに発展・変化させてていきます。また、当時の仏教の衰退を嘆き、自ら自身を見つめ修行することのできる修禅の道場として、高野山を開きました。


高野山開創1200年記念大法会
伽藍中門再建事業
法会期間
平成27年4月2日~5月21日
開創法会YEAR 平成27年度



高野山が世界遺産に登録されたことにより、観光客が多く訪れることになりましたが、規制や約束事もあります。例えば、登録された時点の現状維持をしなさい、ということで、自分の土地にある育っていく木々や、倒れそうな木も自分で簡単に手を入れられない。建物も建てられないとうことがあります。現在、高野山開創1200年の記念行事として、伽藍の中門再建事業があります。信仰上、また伽藍整備の観点からも伽藍金堂(高野山の総本堂)正面に中門を建てたいとの申し出に対し、世界遺産の事務局としては、現状維持して欲しいとなり、建てたいところに簡単に立てられません。そこで行政と協力しながら、許可が出るまでの交渉に数年間がかかってしまいました。

高野山の東西6kmの境内中には、最盛期では2000の寺院もありましたが、廃仏毀釈などの影響などを受け200ほどに統合されます。また、お遍路さんが立ち寄るお寺として宿坊が整備され、 現在117の寺院、52の宿坊があり、人口約3000人が住んでいます。 空海は人里から離れた峯々で囲われている場所である高野山を修行の場としました。高野山には麓の町を臨むような場所はほとんどありません。人里を臨み、町に思いをはせて修行の妨げとなる事もない。静かに自分自身と仏との対話ができる場所、町から遠く離れた盆地である高野を選ばれました。

弘法大師御絵伝
 飛行の三鈷

 

 

 

 


高野山には、たくさんの珍しいものや国宝・重要文化財があります。例えば、三鈷の松(さんこ のまつ)という珍しい松の木があります。通常、日本の松の葉は2葉なのですが、この松の葉は3葉あります。お守りとして持ち帰られている方も多くいます。高野山が開かれるときの「飛行の三鈷」の伝承にも登場する松の木で、三鈷杵(密教法具)の先が三つ股に分かれており、唐からの帰国の折、日本へ向かって投じた三鈷杵が高野山の松に掛かっていたことから「三鈷の松」と呼ばれ信仰を集めています。

また、平清盛が絵具に血を混ぜて描かせたと伝える「血曼荼羅(ちまんだら)」という重文の曼荼羅図があります。曼荼羅には多くの仏様の世界を描かれており、その中には餓鬼や屍、人、星座など、存在するすべてが仏として描かれており、全宇宙のすべてが仏としての命を共有している存在であるという思想の世界が描かれています。高野山に赴くと参道や堂塔で拝む修行僧がいる風景も楽しんでもらいたいのですが、一点ご注意いただきたいことがあります。あくまで、彼らは修行僧であるため、お願いしたいのは声を掛けたり、のぞき込んで正面から写真を撮ったりしないでいただきたい。

紀伊半島という場所は日本民族の宗教観のルーツをたどることができる場所です。宗教とは、そもそもより良く生きるための智恵であり、生活そのものの中に根ざしているものです。また、その時代々に即応し、人々に密着した形で変化していくものでもあります。伝統的に残していく部分、新しい発想を吸収し、その時々の環境にあわせ発展的に育っていくものです。昔は、高野山は多くの智恵者が集まる場所であり、高野山に居ながら全国の情報を得ることができるというほどの場所でもあったそうです。今では、不慣れながらITを駆使したり、様々な情報ツールを通じて情報を得ながら、高野山の魅力を広く知っていただくために様々な活動をしております。また、東京で高野山カフェなどのイベントを開いたりしながら、魅力の発信をしております。

また、3年ほど前から高野聖(こうやひじり)という修行僧として全国を行脚している「こうやくん」という修行僧のキャラクターもいます。こうやくんは、ゆるキャラグランプリ2012に参加しているのでぜひ、投票してみてください。http://www.yurugp.jp/entry_detail.php?id=387

藪さまの講演は、世界遺産、世界至宝となった高野山の現在・過去そして未来への軌跡をとても興味深い内容で語ってくださいました。お忙しい中、和歌山県高野山からお越しくださいました、藪さまには、貴重なご講演をくださいまして誠にありがとうございます。
【講演レポート 広報担当 中川貴照 監修:藪邦彦様 】

【和歌山自慢コーナー和歌山ゆかりの企画・イベントのお知らせ】
・ピアニスト村田千佳(和歌山市出身)http://otoplus-cm.com/index.html
「和歌山市文化奨励賞記念」「音+(オトプラス)ピアノアンサンブル」


・和処 きてら 坂口寿仁様 http://kitera.web.fc2.com/index.html
和歌山の「なれずし」をご提供くださいました。ありがとうございます。


・和歌山県 アンテナショップわかやま喜集館 http://www.kishukan.com/shop/index.html
和歌山県中小企業団体中央会 山本庄作様


・ふるさと和歌山応援寄付 和歌山県東京事務所
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/furusato/


・金八みかん http://www.kinpachimikan.com/voice/index.html
かどや化粧品店 北野拓様、大和パッケージ 田中大輔様


・和歌山県伊都振興局 長谷様
紀州かつらぎ山 新岡農園 より「柿酢」、「ジャバラ果汁」をご提供くださいました。
ありがとうございます。http://www.shinoka.co.jp/


・「幸村茶」が出来上がりました!/和歌山県九度山町役場 田村宏様
http://www.town.kudoyama.wakayama.jp/dd.aspx?itemid=2903
和歌山県九度山町の「幸村茶」をご提供くださいました。ありがとうございます。


・わかやま産品 東京応援店 和歌山県食品流通課 
 ココ・カラ。和歌山 http://kokowaka.jp/


・「和イタリアンのレシピノート」主婦の友社 藤岡眞澄様、和歌山県東京事務所 日根かがり様
https://www2.shufunotomo.co.jp/webmado/detail/978-4-07-283860-0


・「和歌山県民手帳」:紀友会幹事 西本誠様


・NPO法人 「エルトゥールルが世界を救う」 浦聖治様 http://ertugrul.or.jp/


「テネシーワルツ」ミュージシャン 新葉なな様 http://shimvanana.com/


【新入会員のご紹介】 岩本隆様、上久保崇司様、加藤博之様、玉置るみ様、寺脇良樹様、堀昭浩様(五十音順)

【乾杯の音頭】紀友会 会長 安田豊

【懇親会の模様】

【閉会のご挨拶】紀友会 幹事 吉良 平四郎

(第25回例会レポート 広報担当:中川貴照)

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