10月, 2018年

【第43回例会】常勝集団・帝京大学ラグビーいかに最強チームを創りあげたか

2018-10-17

・日時:2018年10月12日(金)18時30分~(18時00分開場)
<講演場所>「アドソル日進(株)10階セミナールーム」 
      東京都港区港南4丁目1番8号 リバージュ品川10階
<懇親会場所>「プロント品川」 東京都港区港南1丁目8−27

【ご挨拶 会長 安田豊氏】P1010352

【講演者】岩出雅之氏(帝京大学 ラグビー部監督)

 10月の例会は、常勝集団・帝京大学ラグビー部監督の岩出雅之さんをお迎えし講演をいただきました。岩出さんは、新宮市出身で、大学ラグビー部の監督に就任する前は、滋賀県内の公立中学校や高校で部活動の指導を経験し、同県立八幡工業高校ラグビー部を率いて7年連続で花園へ出場。人を大切にする独自の教育方針を貫き、全国大学選手権において、2009年度から前人未到の9連覇に導いた名将です。

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 組織作りという事
 学生が未来にもつながるような指導をしていきたいと思い、組織をどう動かしていくか、リーダーシップをどう作っていくか。ラグビーの結果も出させてあげたい。そのために何が必要かっていう事を考えながらやっています。監督から選手やに主役が代わってきている。今の学生たちの受けてきた教育とか価値観の変化をしっかりと感じとって、それに合ったアプローチが必要じゃないかと。勝ちだけでなく、学生が育てたいというところから勝利が生まれてきたんじゃないかなと思います。

 想定外の事がどんどん起こってしまうラグビーの監督はバスケットやサッカーと違ってスタンドでじーっと見ています。ただ指示をして動かすアプローチが本当に効果的ではなく、本当に選手だけの40分なんです。アドバイスに行けるタイミングがありません。いかに学生がその場で色んな事に対して対応できるか。

 実際にフィールドは、70mの幅があります。15人が一堂に集まる事っていうのは1分間ぐらいなんです。それ以外はほとんど近寄りません。ゲームが始まると近くの人とのコミュニケーションしか出来ない。キャプテンも監督も出番がない、そうするとそれぞれのしっかりした判断、状況をちゃんと把握して判断する。そしてうまく連携していくような力がないと勝てないんです。

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 自ら成長する力が大事
 トップダウンではなくて自分で力をつけながら掴んでいけるような力を少しでも与えたい。チームが活性化し、変化し新しい想像をうまくつかんで勝ててる。楽しくさせる中から色んなイノベーティブな部分を作ってる。未来にもしっかり幸せをつかんでいけるような力を養って彼ら自身がチャンスを掴んでこれるような力を、時間を使っていきたい。幸せにしてあげるために、楽しくするために、どうしたら学生たちが動くのかなと自問自答しています。
 自立していないけれど力を持っている彼らをうまく引き上げて最終的には自分のコントロールができるようにしてあげる。ポテンシャルを壊さないでその気にさせる意味では外側の、周りからの手助けも必要。動機付けは外側からのやる気を最初に作っていく。
 最終的には自分で内発的に育っていくようなアプローチはとても大切であると。

エンジョイとチームスローガンにして20年
 エンっていうのは良い縁を作る、ジョイは喜び。喜びを作ろうっていうのはピッタリ。楽しんでこいよって言った方がぐっと良い顔をします。今は育ってきた、受けてきた教育が違う。今変わっておかないと体質改善はかなり遅れると思います。人のために頑張れる人、自分のためにも頑張れる人、しっかりと自分が確立されること。本能的な欲求が満足されてないのに人間ってうまくエネルギー使えません。不安など本能的な事で飢餓状態になると今の子は潰れる。社会的な欲求から、自分がしっかりする事、自己を超えていく自己超越は、実際には難しい。もっと下のほうの欲求を満足させないと上の方にいけない。結果的に愚痴といつもさぼる事を考えることは普通のサイクルだと思う。

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 上級生が掃除、片付けをやるんですが、実はこれ入口です。余裕のある上級生とひ弱な下級生のバランスをどう作っていくか。この事から1年生が、また多くの部員が自分で変わろうとしていく考え方に導いていく。自分をしっかりコントロールしろよという自分を動かす力をどう養っていくか。周りがどんなサポートを、コーチンングを、ティーチングをしっかりとしていくような組織をどう作っていくか。先輩が後輩をサポートする、伴走する。その事で下級生に余裕が生まれる。
 付き合う事からうまく心を掴んで、伴走してあげて、導いていく、質問をしていく。自分が言いたい事を言うんじゃなくて言いたい事を質問してあげる。三つか四つに分けてそして順番に聞いてあげる。上級生の方が論理的にしっかり思考しないとできない。思いつくまま言うだけじゃ相手が混乱します。
 自分が言いたい事を言わすためにはちゃんとシナリオを書いて自分の中のポイント、主張と、それから根拠をちゃんと整理してうまく聞いてあげる。そういう習慣を日々の中で下級生との問答の中でやる事によって実は3年生もしっかりする。1年は論理的な思考が養われていく。

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心が壊れてる時。余裕がない時。そんな時にいかに上級生が1年生にフッと近づいてあげるか。一緒に居たらチームワークが生まれるわけじゃなくて、様々な経験を通して彼らが青年になっていく。お互いが信頼できる関係になっている。自分の興味ある事をやってて振り返ってみたら誰もいないかもわからないよ。もっとしっかりとまわりを見てそして伝えていけるように、前を見て前進するより、後ろを振り向きながらしっかりキャプテンだったら逆にみんなの様子を掴んでいかないと。最初から前だけ向いているキャプテンには誰もついて行かないけど、一生懸命面倒くさい事や色んな事を、我々の時代のリーダーとは違って、関わる事から心を掴んで、気を使って奉仕する、召使いのようなリーダーシップ。
 最後は全部の心をぐっと掴んで本当の意味で前を向いて行けるリーダーシップが今は必要な時代なんです。

与える事ができる人を育てる
 十人十色の周りの人たちに対していかにそれぞれのやる気を作らせるようなアプローチができるか。活動の中で与えれる人を育てる。これは実は本人の幸せを感じることにも繋がってくるし、お互いの関係、人の心を掴もうと思ったらテイクじゃなくてギブしていく、これがとても大切。与えるってとても相手にとっても自分にとっても良い事だと思うんですよね。余裕を持てるかどうかがとても大事で、実はこのそういう後輩にうまく与えていく事が後輩から返ってくる。応援やリスペクト、そして後輩たちもチームワークやビジョンを共有してくれる。

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 内面づくりをどうしたら良いか
チームを好きにさせる事に変えていかないといけない。本人たちが自分で変われると思えるような組織の掛り方にしていこうと。ここが我々の全てです。
 自分をどんどん理解させて自分の中でその活動そのものにどう楽しみを見出せる、喜びを見出せるのかっていう視点をマインドセットさせるようにしています。目的意識わかって自律でやってるという事に大きな価値があるので、その価値感がすごい高いと人間ってモチベーションが上がります。実は飴と鞭って成長マインドをどんどん止めて行くんです。自信のない選手に自信を持ってやれよと言っても無理なんですよ。
 たとえば42.195Km、走った事ないのに自信を出してみろって言っても無理なんです。でも5Kmとかハーフマラソンだったらなんとかという、期待はできるんですね。見通しをうまくもたせてあげる。そして自立させる 自分で納得させる。自分でやってるんだと思わせる。小さい成功体験でもいいからできる事とか、やりたい事を。しっかりとしたセットアップからですよね。なによりも楽しいと思わせる事ですよね。 9割しんどい事があっても楽しい事と思ってたら楽しいんですよ。

いかにセットアップさせるか、マインドセットするか。自分たちでどうしたらいいか、外的、内的の話をしたり楽しさを乗りこなしマインドセットが良い方に行きます。もっと進化させていくためにはもっと頑張らなきゃいけないかなと、足りない事まだまだ感じます。シーズンを通してだけでなく、チェンジしていく。それに挑戦していく。そこにチャンスがあるなと思います。学生たちにはこの4年間、彼ら自身が変わり、そして挑戦していけるような、変わり続けていく力をしっかりと学んでもらって、力にして卒業してほしいなと思います。そういう意味でもまだ僕自身も変わっていかないと組織に完成はないかなと思っている次第です。

 シーズン前のご多忙な時期に、大変興味深いお話をいただきありがとうございました。(文責:中川貴照)

【乾杯の音頭・安田 豊 氏】
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【例会・懇親会の模様】

【閉会の挨拶・細川 一也豊 氏】
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【和歌山自慢・お知らせコーナー】

【紀の国の偉人 -世界が認めた孤高の天才数学者-】
https://academy.meiji.jp/course/detail/4546/
和歌山県では、郷土にゆかりが深い人物を顕彰し、その名声を高めることを目的に、平成23年度から明治大学と連携し東京でシンポジウムを開催しております。今回は、和歌山県伊都郡紀見村(現橋本市)で育ち、数学研究において前人未踏の業績を残した偉大な世界的数学者である「岡潔」という人物にスポットをあてます。

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